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2010/09/26

サヨナラCOLOR

「男子たるもの、人前で涙を流してはいけない」

 戦中生まれのオヤジに俺はこう教えられてきたし、自身もそれが男の美徳だと思っている。最近のドラマに登場する、サラリとした美しい涙を流すイケメン俳優とは、そもそも生物として違うのだ。

 今日まで父親の涙も一度も見たことがない。何故か俺が招待されなかった妹の結婚式で、父が大泣きしたという噂だけは聞き及んでいるが、幸か不幸か呼ばれていない。
つうか、結婚式に長男を呼ばない家族ってどうよ...。(苦笑

 そんなわけで「不器用ですから」とつぶやき、背中で泣く高倉健が、男の中の男。漢の中の漢だと固く信じている。

 高校2年の当時。飼っていた愛犬が、俺の腕の中で最後の力を振り絞り、遠吠えを上げた直後に、コトリと息を絶えた。その瞬間、横に母親がいるのも忘れ大泣きしたのが、おそらく人前で泣いた最後だと思う。それ以来人前であからさまに泣いたことがない。もちろん「これでもか!!これでもか!!」とばかりの波状攻撃で涙を誘う、いやらしいドキュメンター番組や映画などを見せられた時は、さすがにグズッと涙を浮かべる。ただそんな時でも、暗がりに顔を隠すか、背を向けるなどして、人様に泣き顔を見られないように努めるのだ。

 まぁ何が言いたいかというと、俺は20年もの歳月をかけ、涙腺をガッチリ理性で抑えこむ訓練をしてきているし、最近までこの心的防波堤は堅牢で、よく持ちこたえてきたのだ。

 昨晩、近所のファミレスでいつものように本を読みながら、iPodに選曲を委ね、テキトーに音楽を聞いていた。

 「サヨナラCOLOR」がかかった。別にセンチメンタルな本を読んでいたわけでもなく、生々しい傷心に思い悩んでいるわけでもない。肉を食って胃袋も満たされ、幸せな気分に浸りながらページを繰っていたのに、突然泣けてきた。

完全に不意打ちだ。

 キヨシローの声が刺さる。騒がしいファミレスの中で、一人だけ取り残され泣けてくる。不慣れな手つきでコーヒーを注ぎに来る、要領の悪い見習い店員がいぶかる。

季節のせい?歳のせい?

それとも脳に腫瘍でもできてんのか?

 いまさら涙もろい男になるつもりは毛頭ないので、近々人間ドックで検査してもらうことに決めた。結果が出るまで、キヨシローのバラードはプレイリストから外しておく。

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